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ショットピーニングによるSCC防止

こちらでは、SCC(応力腐食割れともいう)が引き起こされる原因および、軽減方法をご紹介します。

SCCとは

ショットピーニングによるSCC防止

応力腐食割れ(SCC)は、引張応力下にある金属材料が、特定の腐食環境に曝された場合に起こる脆性破壊現象です。オーステナイト系ステンレスであるSUS304やSUS316は、プラント機器の構造材料としてよく使用されますが、溶接熱影響部(HAZ)や、圧延・曲げ加工、グラインダー研削などによって降伏応力(ほぼ250MPa)を超える引張り残留応力が発生しています。これらの残留応力は、870℃以上に加熱しないと除去できないため、応力除去熱処理はほとんど行われることはなく、引張残留応力を残したまま使用されています。そのため、塩化物イオン(Cl)を含む水溶液中などにおいてSCCがしばしば発生します。中には使用開始後数ヶ月でSCCが発生し、貫通するほどの割れに成長する場合があります。

ショットピーニングによるSCC防止

SCCは、系(材料と環境の組合せ)に固有な下限界引張り応力以上の引張り応力が作用しているとき発生・伝播しますが、塩化物環境におけるSUS304鋼の下限界応力は100MPa程度なので、実際には100MPa以下にまで低減できれば、SCCは発生しないはずです。しかし100MPa以下の応力にまで低下させることは、900℃程度の熱処理が必要になります。また、装置や配管に熱流束(温度勾配)がある場合、低温側には引張りの熱応力が作用し、この応力もSCCを起こす原因となりますので、材料の残留応力は50MPa以下にする必要があります。このような低い残留応力にまで低下することは、実際には不可能といってもいいでしょう。

一方SCCは、圧縮応力下では発生も伝播もしないという特徴があります。ショットピーニングによるSCCの発生防止や進展阻止(Crack arrest)は、ピーニング処理による圧縮残留応力を有効に使う方法です。

プラント機器のSCC補修および防止策

プラント機器にSCCが発生した場合に講じられている措置は、

(a)現場で比較的低温の熱処理を行う。
(b)グラインダーにより割れを除去する。
(c)割れを除去したあと、ライニングや塗装をする。
(d)溶接により当て板をする。
(e)インヒビタを使用する。


などですが、いずれも決定的な解決策とはなっていません。 グランダーでSCCを除去したままや、パッチあて溶接補修したままで使用すると、また新しいSCCが発生します。 最も効果的なSCC防止法としては、溶射施工(詳しくは、溶射による応力腐食割れの防止をご覧下さい)をお勧めしておりますが、ショットピーニングによるSCC防止施工には、溶射と比較して以下のようなメリットがあります。

  1. 溶射のように、プラント機器表面にコーティング層がないので、プロセス流体中への異物混入の心配がない
  2. 表面にコーティング層がないので、浸透探傷(PT)などの検査が可能である
  3. 溶射に比べてコストが安い
  4. 溶射が難しい、小径管や狭隘部(平行配管など)の処理も可能

なお、SCCに、フェライト高強度鋼の水素脆性割れ(遅れ破壊)を入れることがありますが、遅れ破壊はショットピーニングでは防止できません。この損傷を防止するためのもっとも有効な対策は、特殊セラミック溶射による環境遮断(水素の侵入阻止)です。詳しくは溶射の項を参照ください

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