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顧問竹本幹男青山学院大学名誉教授からの一言

竹本幹男
顧問竹本幹男青山学院大学名誉教授から

2007年4月からカンメタエンジニアリング(株)の顧問を務めている竹本です。37年間青山学院大学理工学部で、環境劣化割れ(遅れ破壊やSCC)、局部腐食(孔食、隙間腐食、エロージョン・コロージョン)、表面改質(溶射、化学気相蒸着、レーザグレジング)や非破壊検査などの研究を行っていました。
大学にいるときから、植野軍二会長と共同で重防食溶射のための電気化学的研究、深さ方向の残留応力測定法の開発、可搬型雰囲気制御溶射法の開発などを研究してきました。
溶射やピーニングとの長い付き合いの中で感じていたことは、経験に基づく技術が多く、科学的根拠や裏付けが乏しいことでした。就任以来、顧問として、また溶射工学研究所長として、社長、社員や研究所員とともに、科学的根拠に基づく信頼される表面処理技術の確立のための実験的研究を展開できました。これまでに行ってきた技術や成果の一部を簡単に紹介します。

1)穿孔法(修正Kelsey法)を用いた深さ方向残留応力分布の測定法の確立

穿孔法(修正Kelsey法)を用いた深さ方向残留応力分布の測定法の確立

この手法は30年前に開発したものですが、いくつかのハードやソフトの改良を加えて、ショットピーニングやブラスト処理したオーステナイトステンレス鋼や炭素鋼の残留応力の深さ方向分布を正確に測定する技術に完成させました。色々なピーニング処理による残留応力分布のデータを50種類以上蓄積し、アークハイトとの関係も明らかにして来ました。残留応力の大きさや深さに関するお客さんの質問や要求に即対応できる体制を確立しています。

2)超長期間SCC試験によるピーニングによるSCC防止・進展阻止効果の確認試験

ジルコニアピーニング処理によるSCC防止策については、多くのお客様から高く評価され採用件数も多くなりつつあります。これまで、短時間(数ヶ月)の実験室試験しか行っていませんでしたが、2008年12月から超長期試験(2〜3年を計画)を開始します。SUS304、316とそれらの低炭素材の塩化物SCCが当面のテーマですが、

(a)SCC感受性に及ぼす歪誘起マルテンサイトの影響
(b)孔食、隙間腐食経由型SCCにおける残留応力効果, 
(c)SCC進展を阻止できる限界深さ


などを実験します。結果は学会等で公表しながら、ほぼ10年計画で有効性の確認と新しいピーニング手法の開発を行っていきます。またSCC試験と平行して、溶射による遅れ破壊防止対策の有効性確認試験を展開します。

3)ショットピーニングによるフェライト鋼の水素脆性割れ(遅れ破壊)防止効果

超長期間SCC試験によるピーニングによるSCC防止・進展阻止効果の確認試験

環境劣化割れには、SCCと遅れ破壊があります。活性経路溶解型(APC)SCCの防止にショットピーニングが有効なことは実証済みですが、硫化水素を含む廃液などのフェライト鋼製装置の割れは水素による遅れ破壊の可能性が高いです。後者にショットピーニングが有効か否かは明らかにされていませんでした。2008年にかなり長時間かけてこの課題を調べてきました。その結果、ショットピーニングは高強度鋼の遅れ破壊には有効ではない(弊害でもない)ことが判りました。ピーニング処理は、強度の低い鋼や、水素進入速度の遅い環境では有効ですが、水素の侵入速度が速い場合には有効な対策にはなりません。遅れ破壊では、溶射による環境遮断が最も有効です。フェライト鋼装置に割れが発見された場合には、どんな鋼(強度)でどんな環境で割れたのかを明らかにされて相談ください。どんな割れでも、ピーニングで止められると考えるのは間違いです。

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