地熱水による応力腐食割れ対策①|プレミアムショットピーニング
1990年 地方自治体地熱水供給設備の地熱水(80℃~105℃,Cl-,H2S含む)を利用したSUS316L製 地熱水加熱機器内面の応力腐食割れ(SCC)対策に、弊社初となるプレミアムショットピーニングを施工しました。

お客様の課題
地熱水に含まれる塩化物イオン(Cl-)の影響により機器内隔壁にSCCが認められていた。 定期開放検査の度にそれらの割れを研削除去後、溶接補修(※研削及び溶接共に引張応力が生じる為、母材にダメージを与えるが、現場では緊急対応策として実施されてしまうケースが多い)⇒運用⇒新たにSCC発生⇒研削除去、溶接補修・・・と幾度と繰り返されていたその補修状況の中、安全運用継続と補修費用の削減は必須であり、何かしらの恒久的な対策を模索していた。
カンメタエンジニアリングの提案
製缶メーカー様からのご相談を受け、かねてよりSCC(応力腐食割れ)研究の権威である竹本教授(弊社顧問)との共同研究を通じて独自に開発した「耐SCCショットピーニング」を、お客様にご提案することとなりました。
溶接による熱影響を受けたオーステナイトステンレス鋼は、鋭敏化(①材料要因)を伴う引張応力(②応力要因)の下にあり、わずかなCl-(③)でも、図の3条件が重なるとSCCが発生する可能性があります。

特に塩化物イオン(Cl-)の影響は軽視できず、10ppm以下という微量でもSCCを発生させるとの報告があるため、お客様の運転環境を変更し塩化物イオンがほぼ存在しない状況にすることは、実質的に不可能だと考えられます。
そこで弊社では、SCCが発生する3要素のひとつである「引張応力」を「圧縮応力」に変換し、SCCの発生を防止する手法をご提案いたしました。
具体的には、数あるショットピーニング材料の中からオーステナイトステンレス鋼に安定した圧縮応力を付与できる「プレミアムショットピーニング(カンメタジルコニアショット)」を選定し、国内初となる提案・施工を実施した次第です。
結果
本地熱水供給設備は、当初お客様が計画されていたほどの地熱水を確保できなかった背景から、現在はすでに装置が停止しております。しかし、運転期間中はSCC(応力腐食割れ)の再発もなく、連続運転に寄与しました。
この結果を踏まえ、弊社ではオーステナイトステンレス鋼のSCC対策として特殊ジルコニアショットピーニングによる「カンメタプレミアムピーニング」を推奨し、取り組みを進めてまいりました。