ロールに離型性(非粘着性)を付与する場合のポイントを解説|搬送、圧延、成形、冷却用ロール等
製造ラインにおけるロールは、材料の搬送、圧延、成形、冷却など、さまざまな用途に使用される重要な部品です。
各用途における機能を十分に発揮させるためには、ロールの性能(離型性やグリップ力など)を維持するためのメンテナンスが必要不可欠となります。
当記事ではロールの種類別に離型性(非粘着性)を付与する場合のポイントを解説します。
アイドラーロール
役割:アイドラーロールは、製造ラインで材料を安定して搬送するために使用されるロールです。通常、動力を持たず、材料の動きに合わせて回転するだけです。
用途:フィルム、紙、布などの連続的な材料を搬送する際に使用されます。
特長:材料の滑らかな搬送を支援。特定のテンションや位置制御を目的として配置されることもあります。
★離型性を付与する際のポイント
ロール上をウェブが通るので、適度なグリップ性と耐摩耗性を持つ長寿命な離型コーティングを選択する
プレスロール
役割:プレスロールは、材料に圧力を加えて成形や圧延を行うためのロールです。通常、上部と下部に配置された一対のロールとして使用されます。
用途:金属板の圧延、ラミネート、パッケージング、紙やフィルムの貼り合わせなど。
特長:材料に対して高い圧力をかけることで、形状を整えたり、厚みを均一にしたりします。精密な圧力制御が可能で、均一な製品を製造するのに役立ちます。
★離型性を付与する際のポイント
材料に圧力が加わることにより、コーティングのプロフィールが転写するおそれがあるため、比較的滑らかな離型コーティングを選択する
チルロール
役割:チルロールは、材料を冷却するために使用されるロールで、内部を冷却剤が流れることで、材料を効率的に冷却します。
用途:プラスチックシート、フィルム、ゴム製品などの製造工程で、成形後に材料を冷却し、設定した形状を保持させるために使用されます。
特長:表面温度が均一に保たれるため、材料の冷却が均等に行われます。冷却速度の調整が可能で、材料の品質を向上させます。
★離型性を付与する際のポイント
ロール母材の温度を材料に差異無く伝えるために熱伝導率の高い離型コーティングを選択する
駆動(ドライブ)ロール
役割:駆動ロールは、動力を供給して材料を引き込んだり、搬送したりするためのロールです。
用途:ベルトコンベアシステムや材料搬送ラインで、連続的な搬送が必要な場面で使用されます。
特長:ロール自体が動力源として機能し、搬送速度やテンションを制御できます。設置される場所や目的に応じて、さまざまなサイズや材料で作られます。
★離型性を付与する際のポイント
製品とロールとの摩擦が大きいため、グリップ力があり、耐摩耗性の高い離型コーティングを選択する
スプレッダーロール
役割:スプレッダーロールは、材料の幅を広げたり、シワを取り除いたりするためのロールです。
用途:フィルム、紙、繊維などの薄い材料を均一に広げるために使用されます。
特長:特殊な形状や表面加工により、材料のシワを取り除きながら幅を広げることが可能です。材料の品質を向上させ、加工後の均一性を確保します。
★離型性を付与する際のポイント
搬送対象物に応じた特性を選択すること
- フィルムの場合・・・フィルムに傷をつけないゴムのようなグリップ力+離型性が必要
- 紙・繊維の場合・・・搬送性を保持させる為に爪のようなグリップ力+離型性が必要
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